長い夜
第1話
ずっと闇の中にいる感覚だ 逃げても 逃げても
闇が襲いかかってくる。
「マスター、オハヨウゴザイマス」目を開けて
1番最初に思った感想は 知らない人が家にいる?
という恐怖 そういえばと昨日ロボットを買った
ことを思い出し泥棒じゃないのかと安堵した。
「マスター、ゴハン タベマスカ?」
カタコトで頑張って喋っている姿に思わず
笑顔になる。「うん、食べる。」赤茶色の首輪
この首輪は暴走しないようにする効果が
あるらしい。用意されたご飯は温かく なんだか
ほっこりする味付けだった
「ご馳走様 ものすごく美味しかった」
私がそう言うとロボットは嬉しそうに笑う
その笑顔はなんだか眩しく ずっと闇だけだと
思ってた心に 光が見えた気がした。
「あさひってどうかな?」ずっとロボットの
ままなのもあれなので名前をつけた
あさひは私の言うことだけを聞く絶対に反対
しない だから全肯定ロボットなのだろう。
あさひの食事は私が寝ている時と仕事へ言っている時に30分の充電だけでいいらしいし
家事を全てこなしてくれるらしい
休みなんてなく 毎日怒鳴られ遅くまで残業
日付が変わった頃に帰ってる私には助かる
本当は行きたくないけれどでも行かなきゃ
昔みたいに親に迷惑かけてしまう。
「行ってきます」
「マスター、イッテラッシャイ」
朝の明るさは午前中に消え午後からはずっと
頭の中で 帰りたいという言葉を繰り返していた
上司は仕事を押し付け帰っていく
帰りたい、でも帰れない ようやく終わった
頃には 日付が変わっている
ようやく終わったと家に帰るとあさひが
笑顔で玄関まで来てくれた
「マスター、オカエリナサイ」
説明書には この種類は持ち主をマスター
以外で呼ばないようになっているらしい
「マスター、オツカレサマデス」
色々気遣ってくれるし 本当にすごいものを
タダで貰ってしまったんだなと実感する
このロボットのどこが失敗作なのだろう?
「マスター、オイシイデスカ?」
あさひの純粋な笑顔に疲れていた心が癒される
「うん、美味しいよ」あさひは満足そうに
笑った。お風呂に入り色々やって眠る
眠るのは怖い でも疲れていて気づいたら
目が閉じている
「こっち来るなよ 夜永」
何十回も夢の中で聞く声この声を聞くだけで
逃げたくなる「お前ウザイんだよ」
また闇の中に放り込まれる
私が何をしたんだろう?なんでこんな
辛い思いをしなければならないの?
逃げたいのに闇が私を追いかけてくる
どこへ逃げても追いつかれ闇に飲み込まれた
所で目が覚めた。
「マスター、ドウサレマシタ?」
あさひが朝ごはんを作っていた手を止めた
「なんでもない、いつものことなんだ」
あさひは心配そうな表情をしていた
ロボットって心はないのにこうやって
場面によって表情を変えられるのだからすごい
寝たはずなのに寝た感じがしなかった。
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