第15話

内心焦る彼女を見据えた四つのそれは静かに目を開ける。


「妾を呼んだのはそなたか?」


赤く燃えるような髪がゆらりと揺れる。頭上には朱色の髪飾りがきらりと光り、上でまとめ上げた髪は腰のあたりまでありどこか妖艶だ。

キリっとしたオレンジ色と赤が混ざりあった朱色の瞳がガラスの様に煌めく。レースハイネックで後ろ姿は八の字を描くように上下が大きく開き丁度中央で紐が結ばれている。

胸元部分がシースルーレースとなっており、その部分には自身の力を表す紋章が金色に光り輝き胸の下辺りから股関節にかけて大きく開いている。

上半身部分は肩、後ろ部分と胸は透けずそのまま足元にかけて細くなり伸びている。

足元よりも長いシースルーの生地は何枚も折り重なっておりAラインのドレスは透けない生地が均等に縦に長く入っており、ふわりとワイン色の生地が靡く。

足元はつま先はしっかりとした幅広の生地で固定されている。足裏、かかとを覆うようなデザインで8センチほどの細いヒールに足首にはビジューストラップで固定しシンプルながらも豪華な造りとなったワイン色の靴がドレスから時々覗く。


「私を呼んだのは貴方?」


透明に白と、緑を混ぜた様な優しい髪がふわりと舞う。ゆるくふわりとカーブを描くその髪の耳よりも少し上から三つ編みされ後ろの中央より下で透明な白を基調とした自身の力を表す紋章が入れられたくし形の簪で纏められてる。薄緑色の少し目じりが下がっている瞳は透き通っている。

大きな布で何枚も着重ねたそれは胸元より上は総レースで覆われており胸下部分を少し細い二重になった一方がレースの帯で締め後ろでレースが重なり合いリボンが揺らめく。

手元まである筒袖はシースルーと薄緑色のレースが混ざりあう。マーメイドドレスの形をしながらもどこか軽やかでシフォン型の下はそよそよと揺れる。

薄い黄緑色のシースルーの打掛は肩衣で、金色の紋章が所々に散りばめられ袖は床に付き広がるほどの長さがあるがふわりと軽く全体を白で統一し、所々薄緑と薄い黄緑が入るそれはどこかほっとさせられるような雰囲気を纏っている。

足元は、楕円形をしており前側からかかとにかけて高くなっている。前側は5センチほどありかかとにかけて15センチほどあり、かかと部分には太いヒールがついている部分は全て透明な物で出来ており、つま先より5センチほどの場所から左右に分かれた太い布状の紐のようなものが第一指と第二指の間から後ろへ延びる不思議な造りとなっている。

左右に分かれた太い布状のそれに巻き付くように白と薄黄緑の線が入っており、右の靴の裏側には金色の紋章が、左の裏側には白と薄黄緑で描かれた紋章が入っている


「俺を呼んだのは貴様か?」


力強い黄金色の瞳がこちらを見据える。両耳のピアスが輝き、自身の力を表す紋章が金色で刻まれている。

瞳と同じ黄金色のマッシュルーム型に抜け感のあるパーマが掛かり、ワイルドに前髪を上げつつもすこし控えめにし、三分の一の髪を右に流し分け後とは肩甲骨よりも長く一束分髪を伸ばしている。

頭にはティアラのような形をした王冠ー金属の様なものがぐるりとリング状になりそこから三本ドームを描くように上に伸びており全て市場うえで繋がっているーが黄金色の光り輝く。

金属の様な物全てに自身の力を表した紋章が細工されており、ドームを描く金属の様な物との間にガラスの様な物が埋め込まれている。

長袖の白いカジュアルなドレスシャツにベージュ色で淵を沿う様に金色と赤色の模様が入ったジレベスト。ドレスシャツを第二ボタンまで開け、ワイルドさを引き立たせる。

さらにベストと同様の色に本来顔の半分を覆う作りになっているであろう襟を曲げ、胸元からお腹にかけ自信の力を現す紋章が大きく描かれ袖口にジャボと呼ばれるフリルが付いたロングコートを纏っている。

右肩には赤色のケープが付いておりどこか神々しい。尚、コートの前は全て開けている為神々しさは半減している。ズボンはベスト、ロングコート同様ベージュ色をしており模様などは一切無くシンプルだ。靴下は履いておらず3センチほどあるヒールのダンスシューズ似たものを履いており、自身の力を表す紋章が中央で黄金色に光り輝く。


「僕を呼んだのは君ですか?」


優し気なパウダーブルーの瞳がこちらを見つめる。瞳と同じパウダーブルーの髪を半分ほどお団子状に結び、腰ほどの長いおでこの中心、両こめかみより少し上の部分に縦に細長い三本の金属のような飾りを繋げるように横に一本伸び、眉間よりも少し上に付いている。

おでこの中心部分には自信の力を表す紋章が勾玉の部分に入っておりアルパイン・ブルーの勾玉に金色が良く映える。縦に伸びた細長いおでこの中心から伸びるそれはお団子上になっている場所で無くなり、こめかみより少し上部分から伸びる飾りは頭の後ろまで伸び繋がっている。細長い金属のような髪飾りは全てエンジェルブルーだ。

七分袖のひざ下まであるパウダーブルーが主体の裾、端部分に青色が入った無地のレース生地で作られた服を着ており、所々透明感のある自身の力を表す紋章が小さく入っている。

下は脹脛ほどの長さまであるシフォンのふくらみがある真白なズボンの様なものを身につけている。

無地のシースルーを履いておりパウダーブルー色の足の甲を覆ったサンダルの様なデザインをしている。両つま先部分には雫型の結晶があしらわれ、決勝の中には自身の力を現す紋章が金色に輝いている。

情報量多いな!!特に見た目!しかも言ってる事全員同じじゃね・・・?


「とりあえず。…呼んだのは多分、私」

『・・・え?』


目の前にいる四人、否。四体の者を見つめながら自身が呼び出したことに確信を持てず、答える。四体の者は間をそれぞれ声の出どころが目の前にいる黒髪の少女にも大人にも当てはまらない者だと分かるとそれぞれ声を上げるが、偶然にも四体の者の声が重なる。

「あー…多分。じゃない。間違いなく私が呼び出した。信じたくないな」

・・・本音が漏れたのはもうこの際放置で。なんか服の紋章どこかで見たことあると思ったよ!!精霊の紋章だ。あれ。信じたくないな!

精霊には、それぞれの属性を現した紋章が存在する。だが、その紋章は限られた精霊のみ纏うことが出来る。服や装飾品に至るまで全て管理されている。紋章を服や装飾品に入れることが出来る精霊は王か時期王のみ。現在、精霊王は1000年ほど前。labyrinthやphantomがいた時代より代替わりや消失などは確認されていない。

まぁ、どの道精霊王か時期精霊王のどちらかになる訳だけど・・・間違いなく精霊王だよな。歴所に記されているのが嘘、な訳ないし。

「ってことはまさかの四従士…!?」

labyrinthには様々な逸話があり、特に信ぴょう性が高いものの一つに四従士と呼ばれる者達がいたとされている。四従士とは。四大元素、火、風。土、水の精霊王を指しておりlabyrinthが使役した精霊だ。どの経緯で使役する事になったのか一切分かっていないが、その四大精霊王を四従士と呼びその名を知らぬものはいないとされている。

「っ悠避けろ!」

呼び出した者達の正体が分かり動揺する中、翔の声に反応し、瞬時に避ける。避けた先には黒い塊…そう悪魔だ。

しまった。戦ってるの忘れてたわ。凄い嫌な予感がするんだけど

「なっ・・・んだこれ!?」

振り返った先には今までにいたことの無い様な黒い大きな禍々しい者がこちらへと向かってきていた。

追いかけられた時よりも多くないか!?え、せめて今から向かうよ!って言ってから来てほしいんだけど?!無理か!

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