第13話

翔の言葉にはっとしたものの、怒鳴りながら返事をしてしまったことに気付く。返事が返って来たことに安堵しているのか翔は小さくはっと息を出す。クリーム色の長い髪の男たちはその様子をただ見ている。

「いきなり黙るな!怖いだろ!」

何が怖いんだろう・・・?

「分かってねーな!?」

何故バレた。これは、心配してくれたってことでいいんだ、よな?心配している、と声がする。

・・・・うん。そうみたい。間抜けな顔してこっち見てるもんな。ごめんね翔ちゃん

「あ。そう言えば、この話聞いても何も思わないなら入学というか入学というか転入?は別に構わないし親もいないから関係なんだけどそれっていつから?」

やや強引ながらも今後の話しを進める。

「え?今日からに決ってるよ!」

さらりと、当たり前の様に発言するその内容に、一瞬何をしているのか理解できずその場にいる者達が固まる。・・・なんて?今日?私の耳が間違ってなければ、今日って言ったよな

「「はぁ!?」」

「えぇ~!?」

「へぇ~!流石だね~!」

「・・・・」

翔と唯一の女である少女、否。彼女は叫び薄桜色の髪の短い男も同様に驚きを叫ぶ。クリーム色の長い髪の男は驚きつつもどこかたのしそうだ。マッシュルーム型の短い髪の男はさほど興味が無いのか黙り込んでいる。ここの理事長は全てにおいて思い付きで動くのか!?

驚きの余り何も言えなくなっていると理事長は窓際の机の引き出しから数枚の書類を持ちだし、作の上に置く。そこには何故か転入試験結果と書かれた書類がありそれを正面に置く。数枚の書類を持つと女子校の理事長の名前が書かれた書類が出てくる。さっとその書類を抜き、手元に置いた

「保護者代理人は僕になってるから安心して♪」

「マジか」

彼女の声が理事長室にこだました


・・・準備がいいって言う問題じゃないよなこれ。むしろここに来るの分かってたみたいに用意周到なんだけど

書類を書き終わり、何故か用意されていた新品の制服を見に纏い先ほど自身で作り上げた鏡を見ながらそう呟く。彼女の周りには男が四人、否五人。つい本音が零れる

「これサイズぴったり過ぎて怖いんですけど!!」

行き成り隣の部屋に消えたかと思えば制服らしきもの抱えて持ってくるし、翔ちゃん達追い出すし自分も出てくし着てた制服は段ボールに入れろって言われるし…訳が分からん。理事長。

横に居る翔を見ながら、自身が映る鏡を見る。なんか翔ちゃん達が来てる制服と大分違う気がするんだけど・・・この制服シックだな。女子校はも制服目当てで入ったって言ってたクラスメイト達が殆どだったけどーそれもどうかと思うーこれはこれでクラスメイト達が喜びそうな制服だな


長袖の墨色の丸襟の七分袖のワイシャツに銀色と金色の線が入っており、シンプルな灰色のカーディガンに赤色のリボンに白と茶色を混ぜたような少しくすんだ太めの線の両側にこげ茶の線が入り更に銀色のラメが入っている。その線は程よくリボン全体にありこげ茶単体の線も同様に全体にバランスよくデザインされている。

また、空いている場所には男子校の校章だろう。くすみかかった金色の校章がアクセントになって全体に散りばめられになっている。襟のないお尻ほどあるブレザーは白く、袖部分とボタン部分に黒色の線が入っている。裾部分は軽く、左胸のポケットには黒の校章が入っている。

スカートは黒色に白の線が入ったチェックプリーツ。靴下は黒色でゴムトップに黒のフリルがあしらわれている。靴は黒のレースアップで靴底はやや厚くヒールは低く約4センチほどある。


他にも女子校に似た制服やらワンピース風の奴があったんだけど最初に理事長に勧められたからこれにしたんだよね…考えるのがめんどくさかっただけなんだけど。


その姿を見つめる翔達の制服は、一貫性が無いがあるとすれば黒色のワイシャツと白色のズボンそれからつけている数は違うが金色の花のモチーフのバッチだけだろう。

規定通りなのは翔とマッシュルーム型の短い男だけだ。ネクタイは彼女が付けていたリボンとさほど変わらないがくすみかかった金色の校章は入っていない。

上着はジレが取り外しできるようになっているが、基本取り外さずそのまま着るようになっており、ジレは灰色で上着部分は黒。気持ち長めのブレザーに、左右の白の線が袖部分と襟部分に入っている。

左胸のポケットには白の校章が入っておりそこには金色の小さなバッチが四つ、校章の真上に付けられている。小さなバッチの表には一つのみ文字が彫られ、裏は四つ花と花言葉が刻まれている。

順ー上、右、下、左ーにはめると花の形になるように設計されている。また、順にはめる際上を一枚右を二枚下を三枚左を四枚を数えるよう言われている。・・・これ説明された時は心底めんどくさいと思ったよな、うん。


一枚目のみ細かく‶SSクラスlabyrinth部隊共通証明バッチ‶と書かれており、見えないが裏に‶彗星蘭、特別な存在‶と刻まれている。

二枚目はアンモビウム(貝細工) 不変の誓い 永遠の悲しみ

三枚目はアネモネ(白) 真実 期待 希望

四枚目は山茶花 困難に打ち克つ

と刻まれている。・・・これ選んだの理事長らしいけど本当に用意周到だよな。


翔達も同じバッチを一枚目に付けているが、二枚目から個人で異なっている。

翔の場合は

二枚目 月橘ーゲッキツー(ミルクジャスミン) 純真な心

三枚目 ローダンセ(白) 変わらぬ思い 終わりのない友情

四枚目 鈴蘭水仙 (スノーフレーク) 皆を引き付ける魅力。


マッシュルーム型の短い髪の場合は

二枚目 空木ーウツギー 秘密 古風

三枚目 冬桜 冷静

四枚目 ヒマラヤ雪の下 秘めた感情。


薄桜色の髪の短い男の場合は

二枚目 薊ーアザミー 触れないで

三枚目 ロベリア 悪意 謙遜

四枚目 百日紅ーヒャクジツコウー(サルスベリ) 愛嬌 不用意


クリーム色の長い髪の男の場合は

二枚目 ヒヤシンス ゲーム 遊び

三枚目 アスチルベ 自由

四枚目 ユリ(黄色) 偽り 陽気

と各々に刻まれているが、裏に刻まれている文字は普段見ることは無く、担任又は理事長の指示なしに取り外す事を禁じているため裏に刻まれた文字を覚えている者は殆ど皆無だ。

また、下は少し白色のズボンにくるぶしまである白色の靴下に黒色のストレートチップの革靴だ。

まぁ、何故か半ズボンとか、ベストのみとか明らかに色が違うとか制服改造してる奴ら居るけど。制服の意味は??

なんて、少しだけほんの少しだけ浮足立ってたのが間違いだったのか。そもそもここに来たのが間違いだったのか…

背後から近づき、鏡越しに理事長の姿が映る。その表情はとても楽しそうな良い笑顔だ。

「今から一時間後、キミがお世話になるSSクラスと中等部から高等部までのSSクラスの前であいさつしてね♪」

「なんて??」

「中等部から高等部までの全SSクラスの前であいさつだよ♪」

違う。違う!内容が分からなかった訳じゃない!

「質問はあるかな?」

全部!・・・まぁ、しいて言いうなら

「用意周到なのは置いといて、裏でもあるんじゃ?」

書類とかを準備したり処理するのに最低でも三日、もしくは一週間はかかるはず。実際に女子校の時の入学手続きに一週間程かかったし。まぁ、そこは理事長だからで納得できるんだけど、わざわざ私がほかのクラスの前であいさつする必要性が感じられない。となると、裏がある以外考えられない。

「そうだね。・・・悪魔を集める体質の君を少しだけ、利用しようと思って!」

どうどうと言ったよこの人!

「それに所々結界に綻びが生じてる事が分かってそこから悪魔がわんさかと・・・だから!君の体質で悪魔たちを集めてもらうことにしたんだよ!悪魔を木端微塵にしてる間に教師たちは結界の修復って事。大半はキミにおかげで殲滅出来てるけどね♪」

塵尻になった悪魔を一か所に固めて他クラスの奴らと一網打尽にするってことか・・・。その為の囮訳が渡って訳だ。・・・ここに住むなら悪魔が居ても困るし別に断る理由もないか!

「別にいいですよ?」



なんて・・・流石にこんな人がいるとは思わなかったよ!囮になる前に目の前の男達の視線で殺されそう。…無茶苦茶後悔中だよ!

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