第11話
「・・・は?」
開いた口が塞がらないとはまさにこの事だろう。口からこぼれたドスの効いた声に翔達は固まるが、理事長は気に求めずむしろとても楽しそうだ。
ようやく離れたと思えばこの人何言ってんだ!?いやいやいや!冗談・・・だよな?冗談に決まってるよな!?
「貴方にはここ魔法迷宮学園に入ってもらいます。あ、決定事項だよ♪」
「・・・決定事項だよ♪って言われても」
いや、貴方全くさっきと別人なんですけど!!
「だって~・・・女の子は普通魔法使えないんだよ♪」
翔は首を横に振り、クリーム色の長い髪の男はにやりと笑う。マッシュルーム型の短い髪の男は興味がなさそうに表情を変えず、薄桜色の髪の短い男はその様子を見て口角を上げていた
「そんなこと言われても使える物はしょうがない!!」
てか、勝手だな!理事長だから勝手も出来るな!!
「あ、拒否権は無いよ!」
それ、そんな笑顔で言う台詞じゃないだろ…!!職権乱用って言うんだよそれ!
「ちょ、ちょっと待ってください!つうか待て!」
その場にいる男達ー理事長を覗くーは、何故そこまで焦っているのか分からず困惑する。無理もないだろう。女であり聖杯を扱える者は様々に狙われやすい。保護されるべき対象である者がここまで嫌がる理由が見当たらない。が、彼女にはあるのだ。特有の、体質が
「ん?」
どうせ入学という名の転入させられるのは間違いないだろうな。男子校の姉妹校だしあの女子校。それに、女子校で聖杯を見られてないとはいえもろに男子校にはバレてるし…逆に今まで隠し通すことが出来てたこと自体が凄いことなんだろうけど!
入学するだろうが転入するだろうが言わなきゃいけないことあるんだよね…
理事長や翔達はじっとこちらを見つめ、話す言葉を待っている。
「あー…多分私と一緒に戦ったことがある奴ら、翔ちゃん達は特に気になったと思うけど、悪魔が異常に私の周りに集まってたと思うんだけど、それ私のある体質が関わってるんだよね」
言葉を選びながら、紡ぐ。理事長は話を聞き黙ったままだ。
「ある体質ぅ?」
「僕それが気になってたんだよね~」
「興味はない」
「言われてみれば実戦室に来た時もお前悪魔引き連れてきてたな…」
薄桜色の髪の短い男は首を傾げ、クリーム色の長い髪の男は興味があるのかソファーから身を乗り出す。マッシュルーム型の短い髪の男は本当に興味が無いのか腕を組み視線を外し、翔は戦いの最中を思い出しているのか唸っている。
こんな体質誰もいらないというか無い方が絶対にいい。…聖杯に置いて最も重要とされているlabyrinthにはある体質があったとされている。それは戦いの中結果的に仲間を救うことが出来たとされている。私にもその大していらない体質があるんだよね・・・否。間違いなくlabyrinthより酷い!だってそうじゃなきゃlabyrinth最初のうちに死んでるから!
「labyrinthと同じ悪魔を呼び寄せる体質なんだよ」
「珍しい体質だね♪」
そうですね!!こんな体質要らなかったよ!
理事長は楽しそうに話しているが一瞬顔を拒和らせたが直ぐに笑顔に戻る。翔達はそれを見てそれぞれ溜息をついた
「悪魔を呼び寄せるのは間違いないんだけど、悪魔が私に近づく理由が、血が欲しいんだってさ。」
確かに貧血になると辛いけど!血は美味しくない!
「血?」
「そ。元々悪魔を呼び寄せる体質だったんだけどそれ依然に必ず怪我をすると悪魔が来て可笑しいなと思ってたんだけど、悪魔が血を連呼してたから試しに血を与えたら風船みたいに弾けてそのまま消滅したんだよ」
「消滅?」
「そう。消滅したんだよ。それ以来元々悪魔に襲われることが多かったけどさらに悪化して、もう地獄だったよ。怪我をしなければよかったんだけどさ…悪魔も噂好きなのか知らないけど強い悪魔にも狙われてたからな。今もそうなんだけど。で、今思えばあいつもそうだったんだよ」
曖昧な部分は多いけど、あの時はかなり強い悪魔な事も分からなくて、寧ろ優しかったからな…
「あいつって誰だよ」
「ちょっと前に悪魔が話してたと思うけど。ジーンだよ。」
横を向けば、翔は眉間に皺をよせあいつが一体誰なのかと考えている。理事長やクリーム色の長い髪の男達は分かっているのか何も言わず黙っており、その言葉で深く頷く。驚いているのは翔だけだ。
「本当にあのジーンなのか!?」
「そうだよ。翔ちゃんはあの頃丁度ここの寮に入ったばっかりだったから知らないのは仕方ないって。」
それに、むしろ翔ちゃんが私のから離れていて良かったと思ってる。あんなことに巻き込まなくて良かった。それに、言える訳がない。幼馴染だったからこそ言えなかったんだけどそれ分かってないだろうな…
本当は、言う機会が作れなかっだだけだ
言いたくないんだけどな!話さないとどの道辻褄合わなくなってさらに追及されるだけだし!言いたくないんだけど!!
「あの時には既にジーンが居たって事か!?」
「居たというか、招き入れたというか…」
「馬鹿か!」
「翔ちゃんには言われたくない!!・・・もう今から話すからちょっと黙ってて!」
翔ちゃんが話し出すと話が進まなくなる…!
翔は自分がいた時に既にジーンが居たと知り、焦りと怒りを露にし追求する。話がヒートアップする前に話しを区切ったが、翔はすぐにでも話が聞きたいのだろう。顔を近づけ、今か今かと待っている。
「…かなり前の事だし、覚えていないことも多いけど私とジーンは友達だった。出会ったのは家の近くにある公園で、いつも通り悪魔に襲われていつも通り悪魔を倒していた時に会った」
「いつも通り襲われていつも通り悪魔を倒すって・・・」
「それが普通だったから」
翔はさらに眉間に皺をよせる
「…公園は、あの公園の事か」
絞り出すように翔が声を出した。俯いており表情はどこか硬い。
「そうだよ。私とジーンの出会いはそこだった。友達というよりもどちらかと言えば兄みたいな感じだった。悪魔だと気づいてはいたけどまさか、上級悪魔だとは思わなくてさ。あいつが私を恨む理由は一つだけ。・・・裏切られたと思っているからだ」
あの時、私はああするしかなかった。それ以外の方法が分からなかったから
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