第7話
クリーム色の長い髪の男の説明通りに左手にある上に続く左側の階段を上がっていく。二階に辿り着くと正面には先ほどの扉と透明な機械がある。直ぐに四角形の物をポケットから取り出し翳せば先ほどと同様の音が流れ目の前の扉が消える。と、左足に鋭い痛みを感じ制服のスカートが破れる。その先を見れば左足から鮮血が溢れけがの状態があまりよくないことが分かる。溢れ出た鮮血は追ってきている悪魔達を興奮させ元々ある小さな理性を崩す。もはや悪魔なのかも分からなくなった黒くヘドロの様なものが傷口を目指し渦を巻きながら襲い掛かってくる、が
「冷気を纏え。咲かせろー絶対零度氷華」
振り向き際即座に術を発動させる。
剣に力を集めるまでもなくただ唱えるだけで剣から冷気が溢れ、剣が絶対零度に到達すると白から色を変え様々な青が交る。それを勢いよく投げれば触れたもの全てを氷結化させ連なる。再びこちらへ戻る為にもう一度氷結化したものに触れると小さな花が咲き狂う。手元に戻てくるときには既に冷たさは無くなり召喚した際と同じ温度へと戻っている
私少し前までベッドで寝てたはずなんだけど。こう見えても倒れたんだけど・・・なんでこんなに元気なんだろうな!!
「癒したまえ」
溜息をつきながら重い足取りで左脚の傷を塞ぎながら扉を抜けていく。そっと後ろを振り返れば一面、白の世界。冷気を帯び氷結の花を咲かせている悪魔と、扉。
…見てない見てない!!
「でも・・・これ高いよな」
これだけ大掛かりな機械だから相当お金かかってるよな。賠償とか…
「何も知らない!!」
扉を後にし、正面にある教室のすぐ横に下へと続く階段へ走り始めた。
「はぁはぁ・・・廊下が長い!!」
地下へ降りた後、走りに走っていたせいか息が苦しくなり休憩したのが駄目だったのか。それともあるはずの実戦室が全く見当たらないせいか…。絶対両方!!休憩していざ実戦室へ行こうと廊下走ったんだけどまったくこれっぽっちも見当たらない!!円形状の内側の壁の中に部屋があるんだと思うけどなんで扉無いんだ!!
休憩したものの実戦室を探す為に同じ場所を何回も走ったせいなのか、息は切れ前へ出す度に足が重くなっていく。わざと全治させなかった左腕は血は止まっており、定期的に傷を無理やり広げ血を出す。この血があれば悪魔は永遠に追い続ける。逆になければついてこない。
はずなんだけど・・・実はあれ以来全く後ろ向いてないから今どれだけ悪魔が居るのか分からないんだよね!!だって律義にずっと後ろ付いてくるからさ!!…嫌な予感はする。けど気になるから見てしまうのが人間な訳で!
「見なければよかった!!」
振り返り、後悔する。決して広くはない廊下にびっしり詰まり、まるで黒い大きな球を転がしているような光景に渦を巻き廊下を飲み込む様に迫ってくる。正直言ってかなりグロテスクなことになってる。
それにしても定期的に悪魔一掃してたのにどうして増え続ける一方なんだろうか。結界はどうなってるんでしょうかね…!?
何周目か、上へと続く階段に差し掛かった時階段直ぐの壁に小さい透明なケースを見つけた。止まることが出来なくそのまま通過してしまったが、足を止めることなく剣を左手に持ち替えポケットに入れた四角形の物を右手でしっかりと握り締める。…また壊すかもしれないなこれ
「場所は地下、階段へ求め瞬間的加速」
足に力を集め、唱えれば瞬間的に小さな透明なケースが設置されている地点まで加速した。今いる場所を指定し、行きたい所を思い浮かべれば人間が持っているリミッターがはずれ瞬間的な力を発揮留守ことが出来る。目の前にある透明なケースに今度はそっと翳すと先ほどとは違う音が流れる
≪再入場確認。実戦室入り口を解除します。右側にお回り下さい≫
四角形の物を再び右ポケットに入れると剣を右に持ち替えた。階段を背にし、音の説明通り右に進んで行くと先ほどまで壁だった一か所に扉があり、そこから光と声が漏れ出している。悪魔の気配がだんだん近づいてくるのを感じ、扉まである少しの距離を全速力で駆ける。扉は内側に押され転がるようにして実戦室へと入っていった。部屋の中はかなり広く、中央を避ける形で各々が実戦さながらに戦っていた。が、それが確認できたのは一瞬で、スピードを急に出し過ぎたのかなかなか止まることが出来ず躓きながら転がりそうになりながらなんとか止まることが出来た。…けどなんで止まった場所がこの部屋の中央なんだろうな!挙句聖杯はcardに戻ってるし!
「なんっ悪魔!?」
近くに居る教師らしき人間が話しかけようとしたが、誘き寄せた大量に悪魔が室内になだれ込んできた。周りに居た生徒たちはとっさに攻撃に入る。攻撃後、扉付近に生徒が二人近づくとその扉を閉め、結界を張った。
私今の所見てるだけなんだよね。まぁ、走りっぱなし戦いっぱなしで疲れたから休憩にはちょうどいい時間だけど!・・・まさか扉閉めるとは思わなかった!
「集合!!」
教師らしき人物の周りに生徒たちが集まった。が、こちらを見ている男たちの表情はとても硬く睨み付けているようにも見える。そして近くに居た隣の男と、薄桜色の髪の短い男が教師らしき人間に耳打ちをしている。って逃げたと思ったらこんな所にいたのかよ!えっと…小さい奴。私より少しだけど小さいから!!
「報告は受けているぞ。が、お前一緒に居た奴はどうしたんだ…?」
柔らかく話しかけるその男、間違いなく教師だろう。その教師は、困惑しているのか何とも言えない表情でこちらを見つめている。
「…置いてきた」
「あー・・・聞いた話だと窓から侵入されたんだったな」
「そうだよ。途中で結界に穴が開いてんじゃないかって話になって、最終的に私が悪魔の囮になった。一か所に集めて一掃した方が早いと思ったから。」
まぁ、どうやって悪魔の囮になったのかは言わないけど!!そう言えば悪魔の後を追ってた男達どうしてるんだろう・・・
ドンドンと、扉を強く叩く音が室内に響き渡る。教師が話しかけようと開けた口から発せられるはずの声はその音によって閉ざされ緊張が走る
「結界が持ちそうにない!!悪魔の群れが余りにも多すぎる!!」
扉の向こうで切羽詰まった声が響く。中々来ないからもう追って来ないのかとか考えてたけど!!やっぱり後ろから着いて来てたか!
ギシギシと扉が軋み、外に居る男たちの声は攻撃を受けているであろう苦しみをおびた声に変わる
「どうするですか!?」「このままじゃ外にいる奴らが!!」「神楽先生!」と声を上げ始める男達。
神楽って名前なのか!そしてやっぱり先生だった・・・
「あー・・・扉を開ける。外の生徒を助けろ、が。絶対に戦うな!見たことない形態してたからな」
教師である神楽は周りの男達に指示を出す。険しい表情へと変わり緊急を要する事であることを物語っているようだ。…団結力とかなさそうだから失敗するんじゃ?とか言えない。てか、扉切り裂く音聞こえてないのか?このままだと扉壊されるんじゃ・・・
「あ、扉壊れた」
その言葉によりその場に居る男たちの視線は扉へと向く。所々に引っ掻いた跡が付き隙間が出来ている。目や羽が見え隠れし赤い血と肌の色が見える所から外にいる男達がどうなっているのか安易に予想が付だろう。
「はぁ・・・転移」
溜息を零し、唱えれば先ほど見えていたはずの人の肌はむしろ鮮明に目の前に現れる。男たちは何が起きたのか分からずただその様子を見ているだけだ。役に立たないな本当に!
ピクリともしないその二人、全身から大量に血を流している片耳にピアスをした男と両手首があらぬ方向に曲がっている指輪をした男
「癒したまえ」
直ぐに治癒に入る。…これは酷い。淡い光を放ち傷を塞いでいく。数分もしない内に男達の傷は完全に消え死体の様な青白い顔色は血色の良い色へと戻っていた。…人が居そうなところにでも転移させよう。先ほどと同様に唱えれば男達は実戦室から消えた。
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