第4話

静まり返る教室内。人前で召喚したの久しぶりで不安しかなかったけど失敗しなくてよかったわ!!

ちょっとはあの女嫌いの奴を見返せた、よな?深く深呼吸をして力を剣へと集中させる。-イメージするのは風。

「纏い風をお「無理だよぉ!!」…マジか!」


剣の周りに風が起き始めた直後、薄桜色の髪の短い男によって遮られ風は弾け無くなっていった。剣が淡い光を発していたがその光は消え完全に召喚直後に戻ってしまった。

流石にこれには声を出してツッコミを入れてしまうのもしょうがないと思う!最後まで言わせてくれ!!

「女の子が使えるなんて聞いてないね~!」

言ってないから。そもそも初対面!…こんな悠長に話している時間無いの分かってるのかこいつら!?

悪魔達が再び集合体になり始めているというのにもかかわらず目の前で繰り広げられるのは、男子校に報告…や歴史が変わると言った今後の話しのみ。

「…俺達の手には負えない」

「僕もぉ!」

「倒すだけ倒してもらおうかな~」

酷すぎるなこいつら!ここに来てからの対処は酷いわ結界は脆くて穴は開きあんな力の弱い悪魔には結界壊されるわ、挙句の果てに私に押し付けてくるとかもう駄目だ!

「邪魔。」

そこに向かい一振りすれば斬撃が男達を襲う。男たちは先ほどよりも強い結界を張り何とか耐えるがそれも砕け散り壁に叩き付けられる。

クリーム色の髪の長い男に支えられていたクラスメイトは傷一つ付くことは無く斬撃によって生まれた風に包まれ教室の入り口まで移動させられていた。

「そこで傷を癒しながら指でも加えて見てろ」

再び完全に集合体となった悪魔に斬りかかり、ひるませながら距離を取り再び剣に力を集中させる。

「げほっ!何するつもりなのぉ!」

「痛いな~…」

後方から声が聞こえるが、目に映っているのは目の前の悪魔ー敵だ。この悪魔異常に生命力があるせいで攻撃しても集合体が解けて大量の悪魔の集団になるだけで広範囲の攻撃で威力もある程度なければ倒す事が難しそう。…なら

「刃に纏いし力を替えろ。風は刃となりて降り注げ!」

セーラー服が静かに揺れ、やがて黒く長い髪が襟がスカートが激しく靡く。

一振り悪魔に斬撃を与えれば凄まじい風が起こり天井に剣の形となり天井に突き刺さり風の刃が生成される。

大量の悪魔の集団に向かい一気に降り注げば悲鳴に似た声をあげ悪魔は次々に消失する。教室中にで風出来た傷がつきはじめ天井に剣の形となり突き刺さったそれが降ってくる。悪魔達は逃げようとするが降ってきた直後、それは渦を巻き悪魔を渦へと集め切り刻む。

やがて風は無くなり微量の風が剣へ戻った。

その少女が持っていた剣は役目を終えたと言わんばかりにダイヤの形をしたcardの中へ戻り胸元に浮いていたcard自体も消えていった

「…さよなら」

私に群がっている事も分からなくなった悪魔達。状況確認の為教室を見渡した少女はげんなりとした表情を浮かべる。

自らの力によって悪魔を消滅させることが出来たものの窓の枠組みはひしゃげ、夥しいほどの鋭い傷が教室中に付いている。机や椅子は破片となり悪魔がいた場所に山の様に積み重なっている。流石にやり過ぎた。あー…この山見なかったことに、出来ないよなぁぁ!

「この力は何だ」

マッシュルーム型の短い髪の男の声が聞こえたことで、彼らがいたことに気付いた少女は振り向き会話に耳を傾ける。視線はどこか遠く、疲れが見える。…そう言えばこいつら居たんだっけ。てか、何か身体重い!!

「凄い力だったねぇ!」

「そうだね~…」

やっぱり何か変なんだよな…。だって、いつも窓に悪魔引っ付いてないしそもそも学校で襲われた事がない!私が原因で悪魔がいつもより力が強くなることはあるけどここまでしつこい上にいつもより強いのも可笑しい。可笑しいことだらけなんだけど…。

それに、最近力を使っていなかったとしてもこの体の重さは異常だと思う!!頭痛くなってきた。

男達の会話に耳を傾け、反射的に右手で右側のこめかみに手を添える。どうしようか、と悩んでいるとバタバタと足音が近づいてくる。この足音からして一人だと思う、けど一人にしては足音うるさいな!足音は教室の前でピタリと止んだ。あ、これ男子校の生徒じゃね?


「じょうきょ…おい!何でこんな所に人が倒れてんだよ!!」


「状況はねぇ、見た通りだよぉ」

「見た通りじゃねーだろ…!大丈夫か!?」

「その子は気を失ってるだけだから安心していいよ~」

安心出来ないだろ。今来た男は灰色の瞳に透明感のある少し暗めな灰色で簡素なマッシュルームに近い髪型に耳にかかる程の長さの髪の短い。まっすぐ伸びる髪の毛だが、若干癖が見受けられる。…なんか見たことあるような無いような…あぁ。多分この中で一番まともな感じするわ。

「おいそこのお前。大丈夫か…っておい!?」

気が抜けたのか、クラスメイトに近づくために動かした筈の足は止まり、体が傾き床に引っ張られるように倒れ込む。

ーようやく、あなたと話が出来るわー

倒れる寸前にそんな声が聞こえた気がした。微かな意識の中、痛みが来ないことを疑問に思っていた少女は誰かに支えられていることに気付く。

この状況で意識がある男達、特に耳にかかる程の長さの髪の短い男は困惑していた。

「おいおいマジかよ…危ねーな!!」

耳にかかるほどの長さの髪の短い男は間一髪の所で少女を支えていた。男たちは既に少女が気を失っていると思っているのか会話を始める。

「衝撃が強くてせっかく治した傷もボロボロだね~」

「まさか女の子がぁ聖杯使えるなんて思わなかったよぉ!!」

「はぁ?!」

「…この傷はその女が放った力で出来た」

「こいつが?」

耳にかかるほどの長さの髪の短い男は他の男たちの話しを聞き腕の中にいる少女をいぶかしげに見る。クリーム色の長い髪の男がゆっくりと腰を上げ少女が移動させたもう一人の少女に近づき、そっと抱き上げた。

「役得だね~!」

嬉しそうな表情でもう一人の少女を抱えるのを見ていた男三人はまたか、とため息をつく。

「とりあえずこの子は女子校の保健室に運んでおくね~…転移~」

クリーム色の長い髪の男はが唱えると抱えていた少女共々消えた。

「こいつどっかで見たことあるんだよな…」

「へぇ!好みなのぉ?」

「あいつと一緒にするんじゃねーよ!!」

殆ど息のない少女は耳に入ってくる会話が文字の羅列と化していた。男子校って、こんな奴らしかいないのか…。

-おやすみ__-

少女は完全に意識を失った


ーそろそろ起きた方がいいと思うわよ…?ー

謎の女の声と同時にバンッ!と荒々しい扉の閉まる音に少女は目を開ける。

…いや、だれだよ。てかなんで目の前がかべ?何回か瞬きを繰り返している内に半覚醒した右向きで丸くなっていた体を左側に移動させる。


「起きたみたいだね~?」

「・・・近いな!!?」

目の前にはクリーム色の長い髪の男が至近距離で少女を見ていた。起きたら目の前に男の顔とか割とホラー!今ので完全に目が覚めたわ!

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