第62話

金髪青メッシュの男が思いっきり腕を振るう。それと同時に飛んでくるいくつもの拳。それらを全て受け流す。




うんうん。白龍のやつよりずっと力がこもってて良いね。蓮にも見習ってほしいよ。




私より断然背の高い男達が次々と殴りかかってくる中、背後から何やら殺気を感じた。また背中を狙ったのか。芸がないなぁ……と思い振り返るもそこには誰もいない。




しまった、フェイクだ。




そう思ったときにはすでに背後で殺気を飛ばしてたやつが前方に回り込み、拳を振り上げていた。





「うらぁぁぁぁ!!」





間一髪でその拳を受け止める。




バシィッ!と勢いよく私の掌におさまった拳を見てそいつは眉間にシワを寄せ、私から距離を取る。




あまりにも勢いがあったからか掌がじんじん痛む。こういった頭使った戦法も久々だな。白龍のやつらは良くも悪くも真っ直ぐだからなぁ。単調な動きばかりで分かりやすいんだよ。こいつらみてぇに頭使え。




拳の重みも桁違いだ。こいつらは私が女だからって手ぇ抜くようなやつらじゃないから尚更。白龍のやつらは何故か特訓の最初のうちは手加減しやがるんだよなー。口では何だかんだ言ってもちゃっかり女扱いしてさぁ。そういうの、私相手には必要ないのに。





「前より動きが良くなったな、赤城」





私に拳を受け止められた男に向かって微笑混じりに褒めれば、そいつは目を見開いてぴたりと動きを止めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る