第56話

言葉と共にバッと横を見れば何故か不服そうにジト目でこちらを見る変態ノッポと目が合った。





「ここにはもう白龍はいねぇよー?」





その台詞に一瞬キョトンとするも、すぐに意味を理解してふっと笑う。





「そうだな…………紫野」





そして白龍の前では決して言わなかった変態ノッポの名前を口にした。








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数時間バイクを走らせたところでようやく変態ノッポ達の縄張りの中に入った。




おー。見事に何も変わってねぇな。




いや、たった数ヵ月じゃそんな変わんねぇか。





「んーっ!この潮風も久々だなー!」





今走ってるとこは海が見える場所だ。そんで、海の近くにある廃工場がこいつらの溜まり場だ。




ここは海の町。黒華としても個人的にもちょいちょい出入りしてたわりと気に入ってるところ。何ヵ月かぶりの海の匂いに頬が緩くなる。





「ほーらよっ!俺らの城が見えてきたぜー」




「何ヵ月経っても汚い城だな」




「うっせぇよ」





そのうちに見えてきたのは遠目からでも明らかに分かるボロっちい廃工場。元がどんな工場だったのか分からないくらいに工場の名前が書かれてるとこに落書きされていて、それ以外にも血の跡や何かで殴ったような割れたガラスの窓、周辺に置いてある無数のバイクが異様さを物語っている。




ここのやつらはちょいと血の気が多いからなぁ。

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