第55話
白龍メンバーの様々な視線を全部無視して、変態ノッポとチビニャンコを両隣に連れて倉庫を出た。
「野良猫ちゃん、皆のとこ行く?」
「ああ。心配かけて悪かったな」
「……華。それよりもさっきの続き」
「ええぇぇ………」
またお説教モードかよ。飽きたんだけど。
その後、バイクに乗って走り出すまでの僅かな時間にねちねちぐちぐちと意味不明な単語を並べて説教かましてきたチビニャンコの声をほぼ聞いてなかったのは言うまでもない。
途中からチビニャンコも諦めたようだった。賢明な判断だな。
バイクで向かうのは隣の県にあるこいつらの縄張りだ。めっちゃ久々だなぁ。あいつら元気してるかなぁ。
「野良猫ちゃーん!心の準備しときなよー?あいつらカンカンに怒ってたからー!」
「マジかよ!?そんなに?」
「だぁから昔から言ってるデショ!野良猫ちゃんは俺らみたいなやつ皆に愛されてるって!」
「あ、愛……っ!?恥ずかしい台詞を堂々と言うな変態ノッポ!」
バイクを唸らせてハイスピードで走行する私達三人。警察にも追い付けないほどの速さだ。
そんな中若干声を張り上げて会話する私と変態ノッポ。チビニャンコは無言だった。
愛されてーだの何だの、よくもそんな恥ずかしい台詞を言えるな、オイ。自分が言われるとむず痒いわ。
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