第54話

「そーゆーことだから」





幸から離れて、今度こそ倉庫を出ようと歩を進める。





今の一言でふたつ、線引きしたことは幸には分かったかな。






あいつらはそこら辺のチンピラではない。大っぴらには言えないが、かなり上のやつらだ。




そんなやつらの情報をくれてやるつもりは毛頭ない、っていう意味。





それと、白龍のこと。友達ほど信用はしてない。これ以上詮索して踏み込んでくるな、っていう意味。





幸には、どこまで理解できたかな。





「…………わかった」





私の牽制に一瞬だけ僅かに動揺した幸は次の瞬間にはまたいつもの無表情へと戻り、ふっと軽く瞼を伏せてそう言い捨てた。




良かった。そこはさすが総長サマ。ちゃあんと理解してくれたようだ。




てか、元を辿れば私自ら白龍に入ったんじゃなくて幸との賭けに負けたせいで半ば無理矢理入れられたもんね。これくらいの牽制はいいよね。

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