第51話

にっこり、と千里のような嘘臭い笑顔を張り付けてゆっくりと幸に近付く。





コツ、コツ。





妙に静かな倉庫内には私の歩く音は響いた。





「ねぇ、幸」




「…………」





コツ、コツ。





「私、ダチは何より大切にする人間なんだよね」




「…………」





コツ………







幸の目の前まで来たところでフッと笑みを深める。そして幸の耳元に口を寄せて……






「そう簡単に情報を渡すほど、私はお前らを信用してねぇんだよ」




「………、!」





幸にしか聞こえない小声で、大きな大きな爆弾を落とした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る