第36話

「……いきなり何言ってんだお前」




「俺でも最近やっと気付けたもーん。多分、俺以外誰も気付いてねーよ」




「……だから、何を」




「華ちゃんが、俺より人間不信だってコト」





冷蔵庫をパタンっと閉じた瞬間、その言葉は上から降ってきた。






私が……人間不信?






「なーに言ってんだ?私が人間不信とかなんの冗談……」




「んー、ちょっと違うか。線引きが上手すぎるんだな」




「…………」




「いやー、俺もすっかり騙されてたよ。フツーに周りのやつらと打ち解けて、一緒に馬鹿やって笑って、自分から積極的に白龍に関わってるもんだから、こんなに気付くのが遅くなった。参謀の輝より人間観察がちょー得意な俺がだよー?」




「…………」




「華ちゃんは、なんつーか……他人との間に見えない一線を引くのが上手いよね」





冷めた眼差しと作り笑いを私に向けて言ったそれにより、私の顔から笑みがストンと落ちる。











…………へぇ。





まさか、気付かれるとはねぇ。






千里に負けず劣らず、完璧な笑顔を作ってみせた。







「-----お褒めの言葉ととっておこう」

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