第34話
千里が勝手に言い出したことだから別に無視しても良かったんだけど、気が変わった。
んだよてめぇら。私が単なる喧嘩馬鹿にしか見えねぇってのか?こないださりげなく家庭的な部分見せてやったっつーのにまだそんなイメージなのかよ私。
料理くらい簡単なもんなら作れんだよ私だって。伊達に竜と二人暮らししてねぇっての。
極稀に台所に立たせてくれるからな。おかげで多少は作れるようになったんだよ。
「おい千里。気が変わった。キッチンまで案内しろ」
「あはは……いーよ」
私のブラックオーラに口元がひきつりつつもキッチンまでちゃんと案内してくれた千里。
珍しいこともあるもんだな。いっつも何があっても我関せずを貫くこいつが、自ら他人に関わろうとするなんて。
キッチンについてからじぃっと千里に視線を送っていると、それに気づいた千里は嘘臭い笑みを浮かべる。私からブラックオーラが消えたからか怯えた様子はなかった。
「どしたのー華ちゃん。俺に見とれちゃって」
「誰が見とれるか。……お前、他人と距離とってんじゃねーのかよ」
ぽつりと呟くように吐き出した言葉に軽く首を傾げる千里。だがすぐに何かに納得したような顔をしてへらりと笑う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます