第33話

蓮の腕をがしっと掴み、タレ気味の目をすっと細める千里。





「なんだよ千里。俺はこれから飯なんだよ」




「まーたカップ麺でも食うつもり?毎回カップ麺とか栄養偏っちゃうでしょー」




「庶民ラーメン旨いんだから仕方ないだろ!」




「そーゆー問題じゃないでしょー」




「料理なんて作れねぇよ!」




「さっすが社長令息ー。でも栄養偏るのは見過ごせないなぁ」




「じゃあお前作ってくれんのかよ!」




「うん、作るよ。華ちゃんが」




「待てやコラァ」





私を巻き込むな。





「華が料理できる訳ねぇだろ!馬鹿かお前!」





分かりきったようなその言葉にぴくりと反応したのは私だ。




誰が料理できないって?





「……馬鹿はお前だよ」




「えっ……は、華?」





ゆらり、と黒いオーラを撒き散らしながら立ち上がった私に蓮と千里がビクリと肩を揺らす。心なしか怯えてるようにも見える。




私の異変に気づいたのか輝がチラリとこちらを見て若干口元がひきつり、昴は寝てる幸の背後にサッと隠れた。おいおい、皆して私の顔見るなり失礼すぎやしないか?





「誰が料理できないって?」





にっこりと、それはそれは素晴らしい笑顔を蓮に向けた。即顔を逸らされた。




……まあ、一番失礼なのは料理ができないと断言しやがった我が弟だがな。

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