第30話
《華side》
奏、遅いなぁ。
ちょっと心配になってきた。
「やはり、何かトラブルに巻き込まれているのでしょうか……」
パソコンが置かれた机の椅子に座って真剣な表情で唸る輝。何か探りを入れようか悩んでる顔だな、ありゃ。
「どうせ菓子の店梯子してんだろ。アイツたまに一人であちこち練り歩くからな」
ソファに座ってチョコレート菓子を頬張りながら輝にやんわり反論する蓮。ちなみにあれ、2袋目だ。小袋ふたつ目ではなく、12個入りの袋ふたつ目である。明らか食い過ぎだ。胃もたれ起こさないか心配になってくる。
「蓮くーん、忘れちゃ駄目だよ?俺ら白龍ってゆー族なんだよ?いつ狙われてもおかしくないんだからさぁ」
蓮の発言に物申したのは同じくソファに腰掛けている千里だ。確かにその通り。族なんて入ってたら狙われるに決まってる。黒華も他の見知った族もそうだったしな。
「奏はそう簡単にくたばるやつじゃねぇ」
いかにも高級そうなソファに腰掛けてビール片手に眉を寄せる我らが総長。幸が無表情を崩すことがあんまりないから新鮮だな。
でも、それも一理ある。
「カナちゃんはそんなヤワじゃねぇからなー。トラブルに巻き込まれたらある程度は自分でどうにかすんだろ。それに、もし本当にそうならきちんと連絡寄越すはずだしな」
煙草を吸いながら思案顔で意見を述べる副総長。こいつも幸と同意見らしい。私も賛成かな。
蓮と千里が座ってるソファの向かいのソファに座っている私は皆を順繰りに見る。言葉とは裏腹に心配だ、とその顔が物語ってるな。
確かに多少なりとも心配ではあるが、奏ならある程度対処できるだろうって私は思ってる。
それが奏の実力を把握してるからか仲間だからって無条件に信頼してるからか、そこは私にも分からないけれど。
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