第29話

「撒いた……かな」





あの探るような視線から逃れるべくハイスピードで町中を走行していた僕は、数十分ほど時間が経ったころ、近くの公園で周りを注意深く観察して怪しい動きをした者がいないことがわかりホッと息を吐いた。




あーもう、倉庫から大分遠い場所まで来ちゃったじゃんか。どこの誰か知らないけど、恨むよ?僕を散々追いかけ回してさ。




でも残念でした。白龍の情報はそう簡単に漏らさないよ。僕馬鹿だけど、そういうことはちゃんとしてるからね。





「さて、と。倉庫行こうっと」





正体不明の輩とバイクで追いかけっこしてましたーって輝に報告しなきゃ。




情報関係は輝の得意分野だからね。僕は絶対無理。頭パンクしちゃうってあんなの。




参謀とか情報処理系の仕事する人は最早同じ人間とは思えない。どーしたらあんなに沢山情報を頭に詰め込めれるんだろーね。脳の構造が違うのかな。




ま、僕には関係ないからいっか。





公園でしばらく様子を見てたけど大丈夫そうだったから再びバイクを発進させる。いつものゆったりペースで行きたいとこだけど、いつまたああいう輩に目ぇつけられるか分からないから先程と同じスピードで倉庫に向かった。








公園のすぐ近くにいた押し殺された気配がふたつ、僕のあとを追いかけてることにも気づかずに。

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