第27話

藍を後ろに乗せて発進するバイク。いつもよりゆったりとしたスピードで走行する。




途中何度かそれっぽい人見かけたか問うが首を横に振るばかりで、お目当ての人物は見つからない。





そうやって探してるうちに少しずつ日は沈んでいった。




辺りは暗くなり、空は夕方特有の暁色から夜空へと変わっていく。そして完全に夜になったところで僕と藍のため息が重なった。





「はぁー……やっぱそう簡単に見つからないですよね……」




「もしかしたらこの町の人間じゃないのかも。たまたま通っただけだったんじゃないかな?」




「うぅ……そんな気がしてきました……」





僕の何気ない言葉に泣きそうになる藍の頭の上にぽすっと自分の手を置いた。




これが物凄く背の高い人ならかなりいい絵面だろうけど、あいにく僕は160センチより低く華と同じくらいだ。そして藍よりも1、2センチほどしか違わない身長の僕がいくらカッコいいことしても絵にならないのは分かっている。




男としてはもうちょっと身長欲しいなぁ。女装に差し支えない程度に。





「ま、今日は会えなくてもいつかは会えるって。そうだ、また一緒に探してあげるよ。カッコいい女に興味あるし。連絡先教えて」




「えっ!?い、いいんですか……?あ、ありがとうございます」





藍と連絡先を交換して、家の近くまで送ってから別れた。




さてと、大分遅くなったけど倉庫行こっと。

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