第26話

「とりあえず、はいコレ」




「あっ……え?」





学ランを脱いで投げるようにぽいっと女に手渡す。





「そのカッコじゃ恥ずかしいでしょ」





はだけて下着が見えてる胸元を指差すと、自分のカッコを思い出したようでボッと火がついたように真っ赤になり俯きながらこくりと頷いた。




そしてそのまま僕の学ランを羽織り、前のボタンをしっかり留める。




バイクで来てるから後ろ乗せることになるな。めんどいけど、この子のためにもゆっくり行かなきゃ。





「ねぇアンタ、名前は?」




「あ、……藍、です」




「そ。じゃあ藍、その助けてくれた女の特徴言って。それがわからないことには始まらない」




「とってもカッコいい人です!女性にしておくには惜しいくらいカッコいい人なんですっ!!」




「……外見は?髪の色とか、目の色とか」




「もーあのカッコよさは反則ですっ!あ、思い出したら鼻血が……」




「アンタ色々と大丈夫?」





駄目だ。この子の情報アテにならない。




とりあえず、カッコいい女ね。ハイハイ。





倉庫行くの遅れちゃうけど、まあいいか。連との約束はまた今度だな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る