第23話
僕に助けられた恩があるからか、素直に白状した。
おずおずと僕の目を見て、ゆっくり口を開く女。
「人を……探してるんです」
俯きがちに、でも目線はしっかりと僕と合わせて答えた女。はだけた胸元をぎゅっと握りしめたのが見えた。
人探し?まさか友達と来て途中ではぐれたとか?
もしそうなら怒るよ。こんな場所に友達と来るんじゃない。
「あ、その……前に、助けてくれたので……お礼を言いたかったんです!」
ほんの少しだけ咎めるように目を細める僕に慌てて付け加える女。
助けてくれたお礼、ね。この子真面目そうな顔してるし、それはまあ納得できるけどさ。でもたったそんだけでこんな不良の巣窟に足を踏み入れるとか、馬鹿なの?
「お礼言うためだけに来たんならとっとと帰りな。また男共に襲われても文句言えないよ」
「わ、分かってます!でも……あの人に会いたいんです……」
ポッ、と頬を赤く染めて小さな声で呟いた。
……あー……なんとなく分かったかも。
「助けてくれた王子サマに一目惚れした、ってわけね」
「えっ……!?」
「そういうことなら尚更止めといた方がいいよ。アンタ真面目そうだし、頭良さそうだし、人望も厚いでしょ?そんな子が不良に恋したら周りになんて言われるか……」
「ち、違いますっ!!」
「うわっ……!?」
至極冷静に推測論を述べていたらいきなり両肩を掴まれて首をブンブン横に振った。そりゃあもう千切れるんじゃないかってくらい勢いよく。
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