第21話
顔面に振り落とされたバットを右手で受け止め、それを捻ってバットを奪う。そして瞬時にバットを振り落とした目の前の男に重い蹴りを入れた。壁まで吹っ飛んだそいつは咳き込んで、まるで有り得ないものを見るような目で僕を見る。
その様子を凝視していた残りの二人も隙をついて鳩尾に一発入れ、ゴミを捨てる感覚でぺいっと壁まで吹っ飛んだ男のとこに放った。
「あーあ、雑魚なんか相手してたら身体鈍っちゃうじゃん」
その言葉に触発されたのか、痛みで咳き込みつつもまだ動こうとする三人に容赦なく回し蹴りをお見舞いしてやった。
「うっ……」
「ゲホッ、っ……」
「女みてぇな……ツラしてるくせに…っ」
「うん、そうだね。僕、絶世の美少年だもん。女に間違われるのも仕方ないよねー。でもね、この街でいう銀髪癖毛の美少年ってね、ただの美少年じゃないんだよ」
こつ、こつ。
わざと足音を立ててゆっくりとそいつらに近付いていく。
一歩近付くごとにその表情は畏怖のこもったものに変わっていった。
そして彼らの目前まで来たところで目線を合わせるためにしゃがみ、にっこりと可愛く無邪気に笑った。
「『白龍』って族、知らない訳じゃないよねぇ?」
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