第20話
「……っの、女男!」
「黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって!」
「ぶちのめしてやらぁ!!」
単純馬鹿って嫌いじゃないよ。動かしやすいから。
こんな低脳なゲス野郎どもは論外だけどね。
「暇潰しくらいにはなるかな?」
僕のその一言が引き金となったらしい。
全員が頭に血を登らせて殴りかかってきた。
汚く染めた茶髪の男が右側から躊躇なく拳を入れてきた。それをひょいっと軽い動作で避けると今度は左側から蹴りが飛んできた。避けれないと判断した僕は直ぐ様腕でその蹴りを受け止める。
ほんの少し痺れたように痛みが走ったけど、それも一瞬であまり痛くはない。なんだ、この程度か。と思ってしばらくそいつらの攻撃を避けながら眺めていたら先制攻撃してきた二人の背後から別の男が拳を振り上げた。
何の危なげもなくそれを避ける。そしたら今度は地面に転がっていたバットを拾った。
ちょっとちょっと。それはスポーツに使うモンでしょーが。人殴るためのモンじゃないよ。
「そのツラ潰してやる!」
避けてばかりの僕に苛立ちが勝ったのか、青筋立てて僕の顔面目掛けてバットを振る男。
「きゃっ……危ない!」
思わず、といった様子で叫ぶ背後の女にふっと笑いかける。
誰が、危ないって?
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