第19話

普通こんな見るからにヤバそうなとこに女一人で来る?来ないでしょ。自分から襲われに来たようなもんじゃん。なのにまあこんな泣き腫らして……女なら強くなりなよね。




そんで女一人のとこに狼が何匹もヨダレ垂らして囲っちゃってさ。馬鹿みたい。そういうことは合意した上でやるのがスジってもんでしょうが。




あーイラつく。こういう馬鹿見ると、お掃除、したくなっちゃうんだよねぇ。





「僕が誰か、ちゃーんとその脳みそに刻んであげる」





にっこり微笑んで腕をバキバキ鳴らしたら若干顔を青くした男ども。こんなんでビビるようなちっちゃいやつらなのか。つまんない。




僕の背後にいる女にここから退けと指示した。女は胸元を隠して慌てて後ろに下がる。が、ここから退こうとはしない。




……面倒くさいなぁ、もう。




この人何したいんだか。でも目的も何もなくここに来たわけではなさそうだ。





「退かないなら邪魔はしないでよ」





僕の言葉にコクコク頷く女に満足げに笑みを浮かべ、目の前の男どもに視線を戻す。




楽しい時間を邪魔した僕に対してあちらさんはかなり怒り心頭な様子。さっきは顔青くしてたくせに、もう闘う気満々じゃん。




弱いくせに粋がると、痛い目見るよ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る