第15話
「華さん、いつもこいつらを鍛えてくれてありがとうございます」
「いつもっつぅか、週3回くらいしか付き合ってねぇけどな」
「十分ですよ。皆、華さんに影響を受けて実力を伸ばそうと必死になってるんです。おかげで白龍の士気も上がりますし、地位も得られるし、感謝しますよ」
「んなご立派なことしてねぇんだけどなぁ」
本気で首を傾げていればクスリと笑われた。
感情が読み取れない薄い笑みだ。
……知り合って早二週間になるが、こいつのこの笑顔はどうも好きになれん。意味深な笑顔ばっかで感情を読み取らせない。薄っぺらい笑顔……って訳じゃないけど、なんか気に入らないんだよなぁ。
まぁでも、この笑顔がこいつなりの他人との壁なら何も言えないんだけど。
「で、わざわざそれ言うためだけに来たのか?」
「いいえ、違いますよ。もしかしたら華さんと一緒に来てるかと思ったんですが……」
キョロキョロと辺りを見渡す輝。一緒に来てるかもって、誰のこと言ってるんだ?
目的の人物が見つからなかったらしく、嘆息する。
「……変ですね。まだ来てないなんて」
「誰探してるんだ?」
「奏ですよ」
……え?
奏なら私より先に倉庫に向かってたと思ったけど……
その奏が、いない?
「今日は蓮と一緒にお菓子のストックを買えるだけ買うと張り切っていたので、少し気になったのですが……」
「あーそうだよ!約束したのに遅れやがって!」
店閉まっちまうじゃんか!と憤慨してる蓮を放置して倉庫の扉をちらっと見る。が、誰かが入ってくる気配はない。
思い起こしてみれば駐車場にあのショッキングピンクのド派手なバイクはなかった。
「トラブルに巻き込まれてないと良いんですがね」
ため息混じりに吐き出されたその言葉に、妙な不安を感じた。
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