第13話
はぁっとため息をついて蓮の目を真っ直ぐ見つめる。
蓮も負けじと鋭い眼差しを私に送る。
先に動いたのは私だった。
誰も目視できない速さで蓮の目前まで走り、上段回し蹴りをお見舞いしてやる。あまりにも一瞬の出来事で蓮は反応ができず受け身をとることも叶わずに吹っ飛んだ。
吹っ飛んだ先にいる白龍メンバー数人を巻き込んで倒れる蓮。
本気は出してないけどそれなりに力を入れたため確実に決まった。
「なんだよあの動き……!華さんすごすぎだろ」
「速すぎて見えなかった……」
「あの黒豹が……蓮さんがああも簡単にやられるなんて」
「華さんの幹部入りは確実だな、ありゃ」
周りがざわつく中、苦悶の表情で起き上がる蓮。ちゃんと加減はしたんだが、それでもかなり痛いみたいでその動きはゆったりとしたもの。
間髪入れずに鳩尾に拳を入れ、体勢が崩れたとこを足払いした。尻餅をついて、痛みに顔を歪めつつもちょっと拗ねたように口を尖らせて私を見上げる蓮。
蓮の前で目線を合わせるためにしゃがんだ。
「基礎がなってねぇのに実践なんてできるわけねぇだろ。体力がなけりゃできるもんもできねぇ。何度言わせる気だ?」
「…………だってよぉ」
「だってもくそもねぇっての。お前はまず大人しく体力作りに励みな。じゃなきゃ、他のやつらみたいに相手してやんねぇぞ」
「……やだ」
やだ、って。可愛いなぁもう。
むくれた顔のまま私から目を逸らし、ボソボソと聞き取りにくい音量で言葉を続けた。
「…………そこまで言うなら……やらなくも、ない」
「何様だよ」
ぺしっと額を叩く。
でもまぁ……その気になってくれたのはいい傾向だな。良かった良かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます