第10話
「ところで華、テストどうだった?」
竜のその言葉でピキッと空気が凍った。
人がせっかく忘れてたことを……
「華すっごい勉強頑張ってたもんねぇ。ねぇねぇどうだったの?」
「あっ、馬鹿…………!」
弦は青ざめて竜の口を塞ごうとする。
このヤロウ。今最も聞きたくない単語を発するんじゃねぇよ。潰すぞコラ。
弦は私のクラスの担任だから当然私のテストの点も知っているはずだ。
だからこそあの反応なんだろう。うん、間違ってない。今すぐその馬鹿の息の根止めてやれ。私が許す。
そんな物騒なことを考えるくらいには八つ当たりする。
「……その口閉じろ。竜」
「えっ!?何その冷たい反応!?」
「うるせぇ。今はテストだのなんだの聞きたくねぇんだよ」
「あ、もしかして1点も取れなかった?残念だねー。次ガンバレ!」
「………………」
「華ちゃんストップ!!手バキボキ鳴らしながら竜に近付かない!!」
チッ。弦に止められた。
「んだよ。止めんなよ」
「そりゃ止めるよ!普通なら有り得ない音で手ぇ鳴らすの聞いてたら止めたくもなるよ!!」
「………チッ」
「華ちゃんの舌打ちが妙に恐怖を感じるのは何故だろう」
「ちょっと弦ー!いきなり口塞ごうとしないでよー」
「お前は黙ってろ!華ちゃんはこれでも頑張ったんだ!全教科一桁の点でも十分頑張ったんだよ!!」
「フォローしてんのか貶してんのか判断に迷うな。一発殴らせろ」
「華ちゃんその拳下ろそうか」
当然機嫌は急降下した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます