第7話
目の前にいる男・竜がより強くきつく抱き締める。それに「うっ……」と呻き声を上げた。
普段のへっとしててもやはりそこは男女の差がある。堅気とはいえ男であるこいつの力にそう簡単に抗えるはずもなく、肌と肌が徐々に密着し隙間がなくなっていく。
顔面を片手で鷲掴みし、もう片方の手で全力で胸板を押すもあまり意味はない。
しかもこいつ「華ちゃんの匂い最高っ!」とかキモいこと言いやがる。病院送りにしてやろうか。
本格的にやばいと察知した私は足を浮かせて秘技・股間蹴りをかまそうとした。
が、それより早く動いた者がいた。
「華ちゃんに何セクハラしてんだてめぇぇぇぇぇ!!」
そう叫ぶ声と同時に竜が私からひっぺがされて理事長室の奥まで吹っ飛んだ。
そのことに対しては何も驚かない。吹っ飛ばした相手もわかってるし、これもいつものことだし。
吹っ飛ばした張本人は竜のことなど視界に入っておらず、真っ先に私のもとへ駆け寄ってきた。
「華ちゃん、無事か!?妊娠してねぇよな!?」
「大丈夫だって」
心配してくれるのは嬉しいが、そのヤクザ面をずいっと寄せるの止めてくれ。ビビるわ。
ってかオイ。妊娠て。抱きつかれただけで妊娠するやつがあるか。抱き付く竜が悪いことに変わりないが、そこまで酷いこと言う弦も弦だな。
少しは信じてやれよ、イトコを。
「いったぁー……ちょっと弦!いきなり何すんのさ!」
「「それはこっちの台詞だ馬鹿」」
理事長室の机に身体を打ち付けたようで蹲りながらも弦をキッと睨む竜に弦と私は盛大にツッコミをいれた。
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