第5話
瑛太の胸ぐらを掴み上げて絶対零度の眼差しを送る。
いきなり殴られてにらまれて訳が分からず狼狽える瑛太。
「おい瑛太テメェふざけんなよあ゛?そんなに地獄が見てぇのかぁ?」
「ええぇいきなり何何何!?華どしたの!?もしやテストヤバかったとか……」
「そうかそうか。タコ殴りがお望みか。喜んでやってやろう」
「あっわかった!赤点ばっかだったとか!?うわーまじか!俺より馬鹿じゃん!いででででで」
「そうかそうか。タコ殴りじゃ生温いか。釘バットと鉄パイプ、殴られるならどっちがいい?」
「あれなんか変なスイッチ入っちゃった!?」
テメェがスイッチ押したんだよ。テメェが。
「華痛いって!赤点とったくらいで……あだだだだだ」
「もう黙れや」
いい加減その口縫い付けるぞ。
私と瑛太のやり取りに顔をひきつらせた清司はまだ何か言おうとした瑛太の口を慌てて塞いだ。
もががが、と声にならない声を上げる瑛太を私の腕から引き剥がし、「この馬鹿がごめんな」と眉尻を下げて私に謝罪する清司。
「私も八つ当たりした。すまん」と謝り、鞄を取り出してテスト用紙や筆記用具などを入れて立ち上がる。
「今日は倉庫行くのか?」
「おう。ちょっと竜の仕事手伝ってから行くわ」
「また仕事溜めてるのか、理事長……」
ため息混じりに言った私に苦笑を溢す清司。いまだに瑛太の口は塞がれているためなんと言ってるのか分からん。
この二人も……というか、この学校の生徒のほとんどは私と竜が知り合いって知ってる。
まぁそれも仕方ないことだ。場所も立場も弁えず暇さえあれば私のとこに来てたし。私も理事長相手に名前で呼んでるし。知り合いなのはバレバレだ。
最初は隠した方がいいのかなと思ってたんだが竜が全く隠そうとしないから別にいいのかと思い直した。
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