第4話
うん、分かってはいたんだよ。ちょっと勉強したくらいじゃ高校レベルについていけないってことくらいはさ。
分かってた。分かってたけども。
今回は学期末テストだ。聞けば、補習は夏休みのほとんどを使うらしい。畜生、夏休みは結月の店でバイトするって決めてたのに。
………0点が1つもないだけでも大きな進歩だと思っておこうか。
ほんの少しでも勉強ができてる自分を励まし、どうにか気力を取り戻そうと内心奮闘する中、そんなことお構い無しにガラッと勢いよく開け放たれた教室の扉。そしてそこから現れた二人の男。
自席で頭を抱えてる私にブンブン手を振って満面の笑顔で駆け寄ってくるその姿はさながら犬のよう。なんとも微笑ましいことだ。
テスト後じゃなければな。
「華ー!テストどうだったー?」
しかも無遠慮に私にとって今物凄くデリケートな問題を直球ど真ん中で聞いてきやがった。しかもこの笑顔。殺意沸く。
「瑛太……!おまっ、殺されるって!」
私の周りを纏う邪悪な気配にいち早く気付いた清司が珍しく慌てた様子で瑛太を止めにかかる。が、もう遅い。
「俺今回めっちゃ頑張ったんだー!ホラ見てみろよ!全教科赤点回避したのなんて初めて……ごはぁっ!!?」
瞬間、瑛太の身体が宙を舞う。
まだ教室に残っていた生徒が皆ポカンとその様子を見ている。
しまった……と言いたげに顔を青ざめる清司。
私の渾身の右ストレートが瑛太を襲った。
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