据え膳食わないのは男の恥!だと、分かっていても。


「もう、今日は寝ようか?朝までちょっとしかねえけど。無理させ過ぎた感じもするし、俺の腰も結構ヤバい」

「腰の振りすぎなんだよ。サド仕様じゃない分、ねちっこかったし、普段は使わない筋肉使ったんじゃないのか?」

「文親?文親の口は俺に甘いほうがいいな」


ちょっと辛辣すぎるぜ。真性のサド様ったら♪


「ふらふらした腰でヨタヨタ帰ってみろ?黒橋の嫌味炸裂!だよ」

「どうせ怒られるんだよな、黒橋さんには」

「そう!自分が裏でお膳立てしやがった癖に、どうやり込めるか、今頃、考え中に決まってる」

「でも帰るまで、寝ないで待っててくれるんだろうに。心配性の“お兄様”は」

「文親にだっているだろう?下らない心配ばっかりかける年下のせいですっかりやつれた王子様を心配してついてくる騎士が」

「…お互い様だな」

「ああ」


ちょっと入れて、と文親に頼んで俺も上掛けの中に身を滑らせて。


「寝よう」


瞼を閉じる。

朝までは。

何も考えないで眠ろう。

また、せわしない日々が、明日からは始まる。

しつけの悪い山犬の牙は抜かなければいけない。その身は、大地に杭を打ち込んで、外れぬ鎖で縛らなくては。

雌伏の時も必要なのだ。

必要な時に敵の喉笛に噛みついて引きちぎる、力を蓄える、その日の為に───。

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