第86話

「卑怯じゃねぇよ。立派な手段だ。お前らには借りがあるからなぁ……たっぷり遊んでやるよ」





後ろにいる仲間から投げられた鉄パイプをキャッチし、黒髪の少年に向ける先頭の男。




それによりイライラ度はさらに増した。





卑怯な手段ばっかり使いやがって。ケンカは素手が常識だろーが。鉄パイプ使うんじゃねーよ。人質とってんじゃねーよ。ああもうイライラする。





さっさとその場を離れれば良かったのに、目の前に広がる光景を目の当たりにしてその場で立ち尽くす。





拳を思いっきり強く握りしめる。





ケンカは駄目だ。あのときと同じことを繰り返したらどうする。





竜にも迷惑をかけるかもしれない。





だから、ケンカだけは……駄目だ。






唇を噛み締めて繁華街へと歩を進めようとした、そのとき。





先頭の男の周りにいるやつらがナイフを持っているのが見えた。








「…………ったく、もう……!」





とうとうブチ切れた私は瞬時にそいつらのいる場所まで走って行った。

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