第84話

気がつけば人気のない道を一人ポツリポツリと歩いていた。





しまった。私の噂を聞いて動揺したからだろうか。




無償に一人でどこかへ行きたくて、気がつけばここに来ていた。





鞄の中にしまってある時計に目を通すと8時過ぎだった。




まずいな。絶対竜心配してるよ。感傷に浸ってないで早く帰らないと……






来たことない場所だったが、少し歩けば見知ったところに出れそうなことに安堵して歩を進める。




少し歩くと予想通り繁華街独特の賑やかな会話の数々が鼓膜を揺らし、もうすぐ街に出れるとホッとしたのもつかの間。





バキッ!ガンッ!ドカッ!





今いるとこの近くから誰かを殴ったり蹴ったりする音が聞こえて足を止めた。

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