第81話

自嘲気味にふっと笑ってそれに答える。






「…………居候なんだから、できることはしておかないとね」





私の返答に首を傾げる弦。





「居候?もしかして、あの家から出たのか?」




「うん、まあ、そんなとこ」





正確には追い出されたんだけど、それを言ったら弦が激怒してしまう。弦は優しいからね。





「居候ってことは誰かと一緒に住んでるんだよな?」




「竜の家に住ませてもらってるよ」





そう言った瞬間、昔テレビで見た凶悪犯の風貌と重なってみえるくらい怖い顔をした。





「あの野郎ついに華ちゃんに手ぇ出しやがったかクソが………」




「おーい、弦?何勘違いしてんだー?」




「華ちゃん、ちょっと俺用事思い出したから行くね」




「待て。何勘違いしてるか知らんが私はただ泊めてもらってるだけだからな。何もされてないぞ」





用事思い出したって、お前さっき今日は帰ってから家でごろごろするんだーとか嬉しそうにぼやいてただろ。明らかに嘘だろ。





「大丈夫。一瞬だから」





にっこりと微笑むがその顔は見る者を恐怖に陥れるヤバイ顔だ。




何が一瞬なんだよ。殺る気かよ。

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