第57話

「今朝絡まれてたとこを助けてもらっただけだよ」




「え、絡まれてた?……あー……確かに、並の男なら食い付くレベルの顔だもんね」





食い付く?人間が人間を食べるなんてスプラッタな世界ではないと思うが。





「ま、僕には及ばないけどネ!」





最後にはそう締め括った。





「ねぇ幸。助けてくれてありがとね。これから華と一緒にマフィン買いに行くからそろそろ行くよ。じゃ、行こーか華♪」




「あ、うん……」






ルンルン気分で今にもスキップしそうな奏の顔を見て私も頬が緩んだが、ふとあることに気づく。




奏に話しかけたってことは奏に用があるんだよな、多分。




幸がこっちをじーっと見てるけど、奏は気付いてないのかな。







「……おい、奏」





あ、やっぱり奏に用があったか。





「なぁにー?」






可愛く振り返る奏にまた頬が緩みそうになる。だから、男でその可愛さは反則だって。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る