第56話

「幸ー!」





奏の声にハッとする。




いかん、なんか見とれてたな。





幸の近くにてててっと女の子みたいな小走りで駆け寄る奏。





「ありがとー幸!学校じゃあんまり暴れれないから助かったよー」





花のようにぱぁっと笑顔になる奏。……さっきとは別人だな。




てか、二人知り合いなんだ。






「………何があった?」




「今日ねー、僕のクラスに転校生が来たの。だから皆その子に話しかけてたんだよ。あー鬱陶しかった!あ、紹介するね。転校生の華だよー」




女の子みたいなノリでバーっと話したと思ったらいきなり紹介させられた。




紹介もなにも、今朝知り合ったんだけど……





「……今朝ぶり」




「…………1年だったのか」




「うん。あ、もしかして幸は2年か3年?」




「2年だ」




お、ひとつ年上か。ん?てことは敬語じゃないと駄目なのか?





「えー!?二人いつの間に知り合ったのー!?」





びっくり顔で私と幸を交互に見る奏。

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