第53話

「ま、まさかこいつ……っ」




「ああ?お前に用はねぇんだよ女男。お前が退け」




「馬鹿!こいつ、あの白龍の……っ」





ひそひそ話なので内容が耳に入ってこない。だがその声が聞こえた周りの表情が一気に青ざめた。




そして私の隣にいた奏は元の可愛い顔からはかけ離れた歪んだ顔になり、怒りを露にしていた。





「………ねぇ」




「ヒッ!?」




「退けって言ってんの、わかんない?日本語通じてるの?あんまり怒らせないでよね。学校じゃ極力控えてるんだから」





唸るような低い、低い声。私も少しびくっとした。




奏ってこんな声出せるんだ。やっぱ、どんだけ見た目可愛くても“男の子”だな。

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