第52話

「ねぇねぇ、そんな女男よりも俺たちと遊ばねぇ?」




「通してくんない?帰りたいんだけど」




「おー、強気女子!タイプだわ」




「人の話聞け。そこ、退けって言ってんの」




「ままま!いーじゃんちょっとくらいさぁ」





駄目だ。全然聞く耳持たねぇよこいつら。





何を言っても話を聞かず、私が嫌悪感を露にしても見てない。





何がしたいんだこいつら。





「…………お前ら……」





イライラが爆発しそうになったそのとき、私の隣で大人しかった奏が不機嫌そうな声を発した。






「お前ら邪魔。この僕を通さないなんていい度胸してんね。……さっさと退け」





その可愛い容姿からは想像だにできないほどのとても低い声が辺りを支配し、群がっている人達はしぃんと静まりかえった。

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