第51話

「遅い!この僕を10分も待たせるなんて!」





理事長室から戻ってきたとたん、奏の可愛い怒鳴り声が教室に響いた。





「ごめん。ちょっと長引いた」




「もー!マフィン買ってくんなきゃ許さないー!」





可愛く頬を膨らます奏に自然と笑みがこぼれた。




甘いもの好きなんだな。





「わかったよ。マフィンね」




「駅前の店のやつじゃなきゃ駄目だからね!」




「ハイハイ」






どんなことを言っても何をしても小動物に近い奏は妹みたいだ。






二人で教室を出ると、何人かが私達の周りに群がってきた。





「噂の転校生って君だよね?うっわ、めっちゃ可愛いー!」





それを皮切りに、雪崩れるように廊下を埋め尽くす男どもに眉間にシワが寄った。

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