第12話

全員の手当てをしたところで、中断していた腕相撲大会を再開。





「華」





私を呼び捨てで呼ぶ紫の髪の男。私はそっちを振り返る。





「おー捺。おかえりー。買えたか?」




「ただいま。ギリセーフだった。……それにしても」





捺の手にはコンビニ袋。そしてその中には限定モノのアイスが大量にあった。なにがギリセーフだ。思いっきり買ってんじゃねーか。




つーかこの寒い中アイスかよ。頭おかしいんじゃねーのこいつ。





私がそう思ってることなど露知らず、腕相撲大会をして盛り上がっている皆を見て顔をしかめる捺。





「俺がいない間にこんなむさ苦しい大会が開かれてたとはね」




「あー捺いなかったもんなぁ。あ、そうだ。さっき「代蛇」から奇襲あったよ」





さらっと言うと、さらに眉間のシワが深くなった。そしてはぁーと深いため息を溢す。




「だから華……どうして副総長である俺になにも報告しないの」




「捺いなかったし」




「携帯は?」




「幹部部屋に置いてきた」





なんか段々目の色が薄くなっていってるような。終いにはにっこりと笑った。




でも目が笑ってない。

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