第14話

トンネルに入ると窓の外に見えていた景色は遮断され、車外はあっという間に闇に包まれた。

耳がキーンとしてきて膜が張ったように感じる。


わたしは鞄から携帯を取出し、付けっ放しだったイヤホンを耳に嵌めた。

聴こえてくる歌声は、今人気急上昇中のロックバンドのもので、繊細なメロディーとストレートな歌詞のラブソングが女の人に大人気だという。



とても良いうた。


でも・・・



わたしは恋をしたことがない。

だから、この歌が語る想いを、わたしはきっと理解できてない。





そんなことを考えながら目を瞑っていると、瞼の向こう側がぱっと明るくなった。

驚いたわたしは目を見開き車窓に顔を寄せる。



長くて暗いトンネルを抜けると、そこは一面緑の世界。

木々や草花が生き生きと多い茂っている。ついさっきまでコンクリートジャングルにいたとは思えない。


なんだかその景色は、わたしが暮らしている場所とは別の世界に見えて・・・。

縛り付けられていた心の鎖が少しずつ緩んでいくのを感じた。

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