第71話
久しぶりに柏木さんのマンションを訪れる。
こうして来るのは……若月君と食事をした以来だった。
「宇川さん、歩生君にどんな魔法かけたのかな?」
柏木さんはニヤニヤしながら私を見た。
「ま、魔法!?ってどういう意味……、」
「步生君が仕上げる図面がなんだか華やかに感じるのよね。元々細部までこだわる丁寧さは一目置かれていたけど。何だかそれ以上に一皮剥けたよのよね。私はずっとその突破口を何年も探してたんだけど、今回宇川さんと組んだらあっさりクリアしちゃったのよね。」
アタシは少し苦笑いしながら知らないフリをする。
すると柏木さんはデスクから立ち上がりソファに座るアタシの所まで来る。
「宇川さん步生君の事お願いね?步生君がもっと上を目指すのには貴女がそばにいてくれないと私も困るの。それだけ彼は大切な人材だから。」
そう言って柏木さんはアタシの左肩を軽くポンと叩く。
「は、はい……。」
返事をするのが精一杯だった。
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