雪解け

「前原さんですよね？」

突然目の前に現れたのは若月步生。

紛れもなく本物で凄いビジュアル。

「……そうです。」

俺は無愛想に返事をする。

コイツが綺をジェットコースター並に振り回している張本人。おかげで俺の周囲もジェットコースター……、

「すみませんでした。俺のせいで綺が誤解を招くような事をしてしまって。」

そう言うと若月步生は頭を下げた。

思いのほかマトモな人間なんだと思った。

「あー……聞いたんですね。大丈夫ですよ、なんとか誤解は解けて最悪な方向には向かいませんでしたから。」

あれから俺の誤解を解くために汐莉に謝り倒した。

なんで俺がこんなに謝ってるんだ？と時々疑問を感じながら。

「そうですか、良かった。」

「……で、若月さんがうちの会社に来るの珍しいですね。」

「設計チームと打ち合わせが終わったので。」

あ、あの学校順調に進んでるのか。

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