第67話

熱い―――。


全身が粟立つようで一瞬息が出来なくなる。


すると、若月君の唇の感触がふと消える。


そして彼はアタシと視線を合わせる。


それが……とても艶っぽくて動悸がした。


オトコのヒトに艶っぽく感じるなんて変だと思うけど、


若月君は性格は置いても見てくれは良いから……。



「俺に触られるのは嫌?」


「え?」


若月君の突然の言葉に少し混乱する。


そんなわけない。アタシは彼が好きなんだからむしろ……、


「本気で嫌なら……、」


え?


なに……それって、


若月君が離れてしまう?


それだけは絶対にダメ。


若月君の身体が少しアタシから離れる。


それが今のアタシには堪えられなかった。


離したくない、離れたくないのは……このアタシだもの。



「綺……、」


言い掛けた彼の唇を塞いだのは、


アタシ。


場所なんて関係なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る