第66話

若月君の綺麗な長い指がボタンをひとつひとつ外していく。


もう息の仕方なんて忘れていた。


彼がアタシに与えるリップ音がやけに耳に響いた。


それはアタシを煽るためなのかは分からない。


でも、アタシは抗うなんて出来ない。



やっぱり彼が……好きだった。


ゆっくり瞼を開けると若月君の肩越しに天井が見えた。


高くてシャンデリアの煌めきが今にも降ってきそう……、



え?



シャンデリア……?


それで何となくアタシは我に帰る。此処は柏木さんのマンション!


そう思った瞬間、若月君はアタシの下着の中にするりと入って脇腹をなぞる。


「っ、だ、だめ!!」


アタシは思いきり彼の肩を押した。


「なに……俺止めないけど。」


そう言って下着を捲し上げる。


そしてアタシの胸元に―――――噛みつく。

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