第61話

「まあ、先にこの料理食べようか。」


「う、うん。」


確かに柏木さんがせっかくアタシ達二人にふるまってくれた手料理を無駄にしたくはなかった。


アタシが箸に手をつけようとした時、バッグから着信音が鳴った。


こんな時に……と思っていると、


「出ないの?」



若月君はそう言って手元のサラダを食べ始めた。


バッグからケイタイを取り出すとディスプレイには“渓人”の文字が表示されていた。



「渓人……?」


思わず口に出していた。


その時一瞬若月君がアタシを見た事に気付かなかった。

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