第52話

「だから、さくら先輩は始めから俺と綺を会わせようとしてたんだ。おかしいなと思ったんだ、あのヒトが俺を食事に誘うなんて有り得ないから。」


そう言って若月君は苦笑いをした。


「そ、そうなんだ。でも柏木さん沢山料理作ってくれてるから食べたら……?」


「うわ、作り過ぎじゃないの。」


彼はダイニングテーブルに目を向けた。


「ア、アタシはコレを一人で食べるのかと思ってたから……助かるんだけど。」



「了解。」


若月君は立ち上がるとダイニングテーブルの椅子に座る。


アタシはコップにビールを注いだ。


そして彼と対面に座る。


この広い部屋に彼と二人きりだと思うと心拍数は自然に上がる。


そんなアタシに若月君は追い打ちをかけた。


「……なんか新婚生活みたい。」

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