第49話
室内は気の利いた音楽もなく、
ただ柏木さんとアタシだけの空間だった。
だから自分を誤魔化しきれない。
「か、柏木さん?」
アタシは動揺を隠しきれず声が震えていた。
「……昔二人の間に何があったかは知らないわよ?でも今回の話を彼に伝えた時ちょっと様子が違ったの。特に宇川さんの会社名を出した時にね。ほら歩生君てポーカーフェイスだから余計に反応が面白かったわ。」
面白いって……。
アタシは彼女の言葉を黙って聞いていた。
「……ねえ、宇川さん。彼は貴女に何をしたの?」
アタシは返事が出来なかった。
「ごめんね、オバサンはお節介なものよ。可愛い後輩が右往左往してたら助けたくなっちゃうの、特に歩生君はね。がむしゃらに必死で成し遂げる姿は良いけれど心配してた。それは宇川さんに関係してると思ってる。」
アタシは必死で自分を落ち着かせていた。
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