第37話

「で、そもそも俺はこんなに綺に避けられてるんだろ。」


「!?」


若月君が突然地雷を踏む。


彼はアタシと視線を合わす。


それだけでアタシの心拍数は跳ね上がった。


「き、気のせい。」


「そんなお人好しでもないけど。」


若月君はそう言って紙コップのコーヒーを一口飲んだ。

その姿が全然似合わない。

やっぱりティーカップにすれば良かった。


「……俺にはあんなに笑ったりしてくれなかった。」


渓人に笑いかけてたかな……アタシ。


アタシが首を傾げる。


すると若月君は薄く笑った。


「自覚ないんだ。」

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