第35話

「綺、怖えよ、俺。彼氏だって事今すぐ撤回してこいよ。」



「大丈夫よ、そんな事若月君が気にしてるわけないじゃない。」



「じゃあ何で俺あんなに凝視されてんだよ。俺のせいであのヒトがクレーム言ってきたらどうするんだよ。」


渓人は本気でアタシに向かって息巻いた。


あの若月君がアタシとか渓人を相手にするなんて考えられないんだけど。


「考えすぎよ。」


「あ、綺こっち来るぞ!」


「え?」


確かに若月君が真っ直ぐアタシ達二人の方へ向かって来るのが見える。


アタシは思わず椅子から立ち上がる。



「久しぶり、いつの間にか担当が綺じゃなくて設計部のヒトに変わってるんだけど?」



若月君は隣の渓人に挨拶することなく平静にそう言った。

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