第21話
「で、若月歩生の図面を主任に見せたのか?」
「うん、理事長さんとスケジュール合わせてたから順調に進むんじゃないかな。」
「ふうん、」
渓人は何か言いたげだったけれど何も言わなかった。
アタシも追及する事はしなかった。
そんな時、
「綺?」
背後から不意に呼ばれた声にアタシは持っていたカクテルのグラスを落としそうになる。
この声、
若月君だ、間違いない。
振り向こうと思うのに身体が思うように動かなかった。
先に振り向いたのは渓人だった。
「え、若月……さん?」
渓人の驚いた声が、彼であると決定付けた瞬間だった。
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