第13話

「でもさ若月歩生ってクラージュの専属建築家だろ?」



「若月さんは柏木さんの大学の後輩だし、彼女のご主人さんはクラージュにいる蒼井さんだし……。」



「へえ、柏木さんがクラージュルート持ってるのか。普通だったら若月歩生にオファーさえ出来ないからさ、今回はラッキーだったな。」


そう言って渓人は仕事に取り掛かる。


彼が言ったラッキーという言葉は本当なんだろうかといまいち信じられなかったけれど、確かに中堅どころのウチの会社に他社の企業専属建築家が承諾してくれる事は本当に稀で強いコネクションでもないと無理な話。


実際、アタシは柏木さくらさんを担当しているけど、彼女にオファーが通ったのは一件しかない。

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